さて、今回はロックということで、ビートルズの『Rubber Soul』と『Revolver』を取り上げます。
タイトルで、本格的なロックへと変化を遂げた、と記しましたが、筆者は、ビートルズの音楽をロックとカテゴライズするのではなく、「ビートルズ」という1つの音楽ジャンルと考えています。
ですが、『Abbey Road』に到達してから全作品を振り返って、「ビートルズ」という1つの音楽ジャンルと捉えられるものであり、そうしたことからこの時点では便宜上、ロックとさせて頂きます。
1・『Help!』までのビートルズの総括
皆さんご存じのように、ビートルズは1962年10月にシングル「Love Me Do」でデビューをし、翌1963年3月にアルバム『Please Please Me』を発売し、大快進撃を始めます。
では、ビートルズの何がそんなにすごかったのでしょうか?
あるロック評論家はビートルズの歌詞をして、「欲情しきったラブ・ソングがすごく、それまでになかったラブ・ソング」、と評しています。
なるほど、それはあるとも思います。ですが、筆者は音の人なのでサウンド面からビートルズを捉えてみます。
先ず、プロデューサーのジョージ・マーティンは、アメリカのジャズ、ソウルと言った音楽に詳しく、ビートルズの楽曲にシックス、セブンスはおろかディミニッシュ、SUSと言ったコードを随所に取り入れ、楽曲をお洒落で洗練したものにしました。
そう。ジョージ・マーティンはジャズ、ソウルで多用されるコードを用いたのです。
その上で、アメリカからのロックン・ロールをビートルズ流に解釈させたのです。
これがすごかった。こんなこと、ロックン・ロール、ジャズ、ソウルの本場のアメリカのロック・バンド、ロック・ミュージシャンもやっておらず、ビートルズによってなされ、ビートルズの音楽として築き上げられたのですから。
ところが、そんなビートルズに大規模な音楽変化をもたらせる出来事が生じました。
2・『Rubber Soul』の登場と時代背景
その出来事とは、1965年にヤード・バーズを脱退したエリック・クラプトンがジョン・メイオールズのブルース・ブレイカーズに加入し、1960年のギブソン・レスポールを100Wのマーシャル・アンプにつないで、大音量で、オーバードライブ・サウンドを出したことです。「ギャイーン!」、と。
この「ギャイーン!」に皆が驚いてしまい英国でリズム&ブルースをロックに変え、米国でロカビリーをロックに変えてしまったのです。
この「ギャイーン!」は、それほどまでに革命的なサウンドでした。
これにはビートルズの4人もジョージ・マーティンも驚いてしまい、特に時代に敏感なジョージ・マーティンは、(時代が変わる)、と思ったことでしょう。
ですが、その「ギャイーン!」に直面しても、率直に書きますが、ジョージ・ハリスンもジョン・レノンもギタリストとして直ぐにモノにできる能力を全く有していませんでした。
それが幸いしたのです。
ジョージ・マーティンとビートルズは、シックス、セブンス、ディミニッシュ、SUSと言ったコードをより巧みに楽曲に活かし、スローな楽曲群でさりげなく、しかし、大規模な音楽変化を行い、大成功させました。
それが、『Rubber Soul』でした。
しかし、この『Rubber Soul』は、ビートルズの音楽変化の過度期的作品であるというのがすごい。ビートルズが本当に変貌を遂げたのは、次作、『Revolver』だったのです。
3・『Revolver』の登場
このアルバムは、「ギャイーン!」を消化して作り上げたジョージ・ハリスンの曲、「Taxman」で幕を開け、インド音楽ブームにあったイギリスでインド音楽を意識し、ワン・コードを展開する極めてロック的な「Tomorrow Never Knows」で幕を閉じます。
「ロックの時代になった」、ということは後年の者があとから時代を振り返って、判ることであり、時代の当事者のビートルズとジョージ・マーティンとしては、この『Revolver』こそが、時代への返答でした。
よく日本では、「ビートルズが音楽シーンを変えた」、と、ナントカの一つ覚えの言葉が跳梁跋扈し、筆者は辟易するのですけれども、逆なんですよ。音楽シーンの変化をビートルズとジョージ・マーティンは敏感に察知し、その音楽シーンの変化を見事に咀嚼し、ビートルズも変化を果たしたのです。
但し、その咀嚼度が余りに見事。
さて、『Revolver』が登場したのは、1966年8月。スインギング・ロンドンの渦中にあったイギリスでは、1966年にとんでもない出来事が3つ起こりました。
1つめは、渡英したジミ・ヘンドリックスのデビュー。2つめは、クリームの結成とデビュー。3つめは、ヤード・バーズにジミー・ペイジが加入したこと。
そうです。ジェフ・ベックを含めてヘンドリックス、エリック・クラプトン、ジミー・ペイジの4人が、エレキ・ギターを武器にロックの扉を開き、新しい時代を築き上げた4人が、音楽シーンに顔をそろえたのです。
アメリカではサイケデリック・ムーブメント、ヒッピー・ムーブメントが勃発するなか、ビートルズはどの様に時代に対抗するのでしょうか。
(皆さん、ご承知ですよね/笑)
(文 葛西唯史)
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◆元某大型輸入盤店でバイヤー歴20年
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