不定期連載のレッド・ツェッペリンについてです。
ビートルズに関しては、また後ほど取り上げますし、ローリング・ストーンズ、ジミ・ヘンドリックス、
デヴィッド・ボウイ等々についても忘れておりませんので、ご安心下さい。
さて、今回は、レッド・ツェッペリンの『Ⅱ』ですが、その登場と意義について記します。
1・レッド・ツェッペリン『Ⅱ』の登場
ジミー・ペイジがブルースを対象化し、自らの白人音楽としてのロック確立の為の1つの構成要素として
(もっと解りやすく言えば、ブルースを目的とするのではなく、音楽創造の為の手段としたこと)、
大成功を収めたことは、『Ⅰ』の稿で述べたとおりですが、『Ⅱ』はそれを過激なまでに推し進めたものと言えます。
『Ⅰ』を発売した後、精力的な全米ツアーに出たレッド・ツェッペリンは、瞬く間に前座バンドから
トリを務める大人気バンドとなり、アメリカで物凄いライブ・バンドとして認知されました。
その精力的な全米ツアーの合間を縫って、『Ⅱ』のレコーディングを行った訳ですが、ジミー・ペイジの
頭のなかには、『Ⅰ』でやったことを、手法を変えて、徹底的に推し進めよう、と言う考えがあったに違いありません。
では、その手法を変えるとは何だったのでしょうか?
それは、単音ギター・リフによって楽曲を組み立てる、と言うことです。
それが、「Whole Lotta Love」、「Heartbreaker」、「Livin’ Lovin’ Maid」、「Moby Dick」、
「Bring it on Home」で花開きました。
また、「What is and What Should Never Be」と「The Lemon Song」でのギター・リフも単音リフを
いじって出来上がった楽曲です。
アルバムの冒頭を飾る「Whole Lotta Love」では、ジミー・ペイジのEコードでの単音リフがいきおい炸裂しますが、
リスナーの心を一気にわしづかみします。
これは、2の意義における要素となりますが、この単音リフが、これ以降のロックの、特にハード・ロック/へヴィ・メタル
でのスタンダードとなりました。
この『Ⅱ』は、空いているスタジオでゲリラ的にレコーディングされましたが、何かうかがい知れない力が
メンバーに宿ったに相違ありません。
ペイジ、ボーナム、ジョーンズ、プラントの勢いには、神が宿っているとしか思えません。
『Ⅱ』はアメリカで、予約のみで50万枚を突破し、ゴールド・ディスクを獲得。
ビルボード、初登場1位でビートルズの『Abbey Road』を蹴落とし、ロックの先導者がビートルズからレッド・ツェッペリン
にバトン・タッチがなされた瞬間でした。
ただ、筆者はこの『Ⅱ』に苦言を2つ、呈します。
1つは、プロデューサー、ジミー・ペイジも認めていますが、音が悪い。
幾ら空いているスタジオでゲリラ的に録音したからと言って、「Heartbreaker」でバス・ドラムの音が小さすぎるのは
悲しいです。
2つめは、この『Ⅱ』に限って、幾ら時間がなかったからと言って、ペイジのギター・リフとボンゾのドラミングの絡みが
単純すぎることです。
この2つが残念です。
2・レッド・ツェッペリン『Ⅱ』の意義
これは先ず、上で述べたブルースを自らのロック確立の為の手段としたことを過激なまでに推し進めて、大成功を収めたこと。
第2に、これも上で述べましたが、ここで展開される単音ギター・リフが、その後のロックの、
特にハード・ロック/へヴィ・メタルでのスタンダードとなったこと。
第3に、筆者、独自の見解を記します。
それは、ボンゾがロック・ドラミングのあり方に関し、ハイハット、スネア、バスドラの3つのコンビネーションにしたことです。
これが、その後のロック・ドラミングのスタンダードになりました。
それまでのロックのドラミングは、ジャズ・ドラミング的にシンバル、スネア、バスドラのコンビネーションで
展開されていましたが(ロックのそれは、ジャズ・ドラマーに比べると余りに下手でした)、ボンゾが、
ハイハット、スネア、バスドラのコンビネーションに変えた、と言うことです。
第4に、『Ⅰ』ともどもで、それまでのロック音楽のあり方をぶち壊し、新たなロックの地平を切り開きましたが、
後のハード・ロック/へヴィ・メタルの礎となったことです。
ところが、同じことを2回とやらないプロデューサー、ジミー・ペイジとレッド・ツェッペリン。
次はどうなるのでしょうか。
(皆さん、ご承知ですよね/笑)
(文 葛西唯史)
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