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ザ・スターリン全アルバム評──遠藤ミチロウの肉声がまだ腐っていない。レコード買取オーパラ

2025/10/5

文:店長(USED CD, VINYL & AUDIO & VINTAGE CLOTHING STORE AU-PARA)

当店は、大阪府、神戸その他兵庫県、京都府、奈良県、和歌山県、滋賀県の全域へ出張買取可能。

日本全国宅配買取可能。


【I】『TRASH』(1981)

これは“音楽”ではなく、“事故の記録”だ。
スタジオの壁がまだ音に慣れていない。
マイクが遠藤ミチロウの唾液と血を拾う。

「ロマンチスト」。
この曲を聴くたびに思う。
日本語がこんなに残酷に鳴った瞬間は他にない。
メロディは剥き出し、リズムは錆びついた鉄。
だが、その鉄でしか切れない感情がある。

この時点で、スターリンはもう完成していた。
つまり「何も直さない」という完成。

当店AU-PARA(オーパラ)では、この自主盤Ver.や初期パンク黎明のEPを
“日本の破壊音楽の原型”として買取査定。
盤の傷跡までも、そのまま時代の証拠とする。


【II】『STOP JAP』(1982)

日本語パンクの中心。
いや、“日本”という言葉そのものを燃やしたレコードだ。

タイトルの意味は二重だ。
“日本を止めろ”でもあり、“止められない日本”でもある。

「冷蔵庫」「虫」。
音の中に社会の匂いがこびりついている。
臭くて、汚くて、どうしようもなくリアル。

遠藤ミチロウの声は喉ではなく内臓で叫んでいる。
それがオーパラの言葉で言う「反転の芸術」だ。
崩壊を通じてしか美は現れない。

AU-PARAではこのアルバムを“思想的遺産”として扱う。
オリジナル盤・初回帯付・ステッカー完品は特別査定。
なぜならこのレコードは、国家と個人の接続点だからだ。


【III】『EXPRESS』(1983)

音が速くなった。
怒りがリズムに変わった。
このアルバムでミチロウは“絶望のスピード”を獲得した。

パンクはもう笑えない。
それを知ってしまった後のロックだ。

「仰げば尊し」──これは葬式のBGMとして完璧だ。
卒業ではなく、“脱出”の歌。
ここでスターリンは、青春の死体をパンクに変えた。

AU-PARAの買取査定員は、この盤の針音を聴いてから値をつける。
ノイズが美しいかどうか、それで判断する。
完璧な音よりも、狂った音に価値がある。


【IV】『FISH INN』(1984)

混乱の果て。
音の密度は増し、言葉は抽象化し、遠藤の叫びが内側へ沈んでいく。

「STOP JAP」が外へ向けた爆弾なら、
『FISH INN』は自分自身への拷問だ。

リズムは機械的、だが演奏は有機的。
まるで“感情のない肉体”が演奏しているようだ。

ここで彼らは、パンクを「思想の構造」にまで昇華した。
怒りを、詩へ。破壊を、祈りへ。

AU-PARAではこの盤を「日本的アナーキーの完成形」として扱う。
特にジャケットの印刷質、ブックレットの紙質などを査定に反映。
“モノとしての狂気”を理解できるかどうかが評価の分かれ目。


【V】『原爆オナニーズとのSplit』(1985)

地下の鼓動。
広島、名古屋、大阪。
日本の“地方”が世界に最も近かった時代の記録。

このスプリットには、“地方の革命”が詰まっている。
都市の言葉を拒絶した者たちの音。

AU-PARA(オーパラ)は、
こうした“独立したノイズ”を特に高価買取する。
それは音楽市場の外にある文化。
制度の外にこそ、本物のパンクが生きている。


【VI】『For Never』(1985)

遠藤ミチロウが“死”を意識し始めた作品。
ノイズの裏に「生き延びたことへの恥」が聴こえる。
その恥を美しく包むのが、ミチロウの詩だ。

「生きてるって言ってみろ」
彼は聴く者にそう突きつけた。
この問いに、まだ誰も正しく答えられない。

AU-PARAはこのアルバムを、
“ポストパンクではなくポスト生存”として位置づける。
存在の痛みを聴き取る耳を持つ人間だけが、この盤の価値を理解できる。


【VII】『ミチロウ・ソロ期』(1986〜)

バンドが終わっても、声は終わらなかった。
むしろ“個”になった瞬間、音が普遍になった。

『破産』『入浴』――
これらは遠藤ミチロウという人間の「社会的な日記」だ。
日本がバブルに向かう時代に、
彼はすでに“虚無のバブル”を見抜いていた。

AU-PARAではソロ作品やライブブート盤も
思想的アーカイブとして買取査定対象。
パンクの定義を超え、「言葉の芸術」として扱う。


【VIII】結語:音の屍を受け継ぐ場所

遠藤ミチロウの死は、
“音の終わり”ではなく、“沈黙の始まり”だった。

ザ・スターリンの全ディスコグラフィーは、
日本という国の無意識の記録だ。
怒り、諦念、滑稽さ、欲望――全部が混ざっている。

AU-PARA(オーパラ)は、
その“混沌の記録”を次の世代に渡すための店だ。
レコードを売ることは、思想を継ぐこと。

だから我々は査定する。
ノイズの奥にある叫びを聴くために。
そして、次の誰かに“ミチロウの残響”を手渡すために。


【買取案内】

USED CD, VINYL & AUDIO & VINTAGE CLOTHING STORE AU-PARA(オーパラ)
ザ・スターリン、遠藤ミチロウ、INU、アーント・サリー、非常階段など
日本パンク/アンダーグラウンド全般を高価買取。
大阪を中心に関西全域へ出張買取。全国宅配買取対応。
盤・ノイズ・思想までを査定対象。
音楽を“文化の遺骨”として扱う唯一の店。


「ロックは生き方ではない。
生き方を壊すための音だ。」
─ 遠藤ミチロウ


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