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セックス・ピストルズ全アルバム評 ─ “破壊の音”がまだ聴こえる。by オーパラ

2025/10/5

文:店長(USED CD, VINYL & AUDIO & VINTAGE CLOTHING STORE AU-PARA)


【I】Never Mind The Bollocks, Here’s The Sex Pistols(1977年)

ロック史の“終わり”を最初に宣言したレコード。
ここから先に進もうとするすべての音楽が、一度はこの壁にぶつかる。
音は太く、雑で、若さではなく怒りの正確な構造でできている。

スティーヴ・ジョーンズのギターは「歪み」ではなく暴力の美学そのものだ。
ポール・クックのドラミングは「リズム」ではなく都市の心拍
ジョニー・ロットンの声はもはや歌ではない。
社会に吐きかけられた笑い声の形をした反抗

「God Save The Queen」で、彼らは“女王”という名の構造を殺した。
「Anarchy In The U.K.」では、反逆の英語を“商品”に変えた。
──そう、これはパンクではなく資本主義を自爆させるための最初の芸術作品である。

AU-PARA(オーパラ)では、この初回UK盤(V2086:オレンジラベル・マトリクスA3/B1)を特に高価買取中。
この盤に刻まれた“ノイズ”は、もはや時代の証言であり、文化遺産だ。

当店は、大阪府、神戸その他兵庫県、京都府、奈良県、和歌山県、滋賀県の全域へ出張買取可能。

日本全国宅配買取可能。


【II】The Great Rock ’n’ Roll Swindle(1979年)

『Bollocks』が「誕生」なら、これは「葬式」だ。
ピストルズが解散した後に出たこのサウンドトラックは、
バンドの死体をマルコム・マクラーレンが笑いながら切り刻んだようなアルバムである。

ロットンはもういない。
代わりに登場するのはマルコム自身の声、シド・ヴィシャスのバタつくベース、
そして“ピストルズというブランド”が商品として再利用される瞬間。

「No One Is Innocent」でマルコムは告白する。

“We’re all criminals.”
すべての人間は罪人だ、と。
だが彼はその罪を音楽に変換して笑っていた

音質的にはバラバラ。だがそれこそがこの盤の意図。
ロックが自分の死体を解剖する瞬間を、録音テープで見せつける。

AU-PARAでは、このLPを「映画の一部」ではなく「時代の終焉を記録した報道音源」として評価する。
ジャケットの折りたたみポスター付、初版マルコム署名ステッカー付は特に高額査定対象。


【III】Sid Vicious – Sid Sings(1979年)

セックス・ピストルズの“亡霊”Sid Viciousが残した、最も痛々しく、最もリアルな叫び。
これは音楽ではない。
死の実況録音だ。

「My Way」はフランク・シナトラの名曲を、
まるで“死刑囚の独唱”のように、破壊的に歌い切る。
シドはマイクの向こうで笑っている。
それは「俺は負けたけど、まだ笑えるか?」という最後の問い。

このアルバムを聴くとき、誰もが「パンクとは何か」を再び問われる。
そして答えはいつもこうだ。

“It’s too late. Punk is already dead.”

AU-PARA(オーパラ)では、この『Sid Sings』UKオリジナル(V2144)を**“死の音の現物”**として扱う。
赤スピンドル初回、インナー付き完品は市場でも希少。
その一枚には、1979年ロンドンの空気と血の匂いが封じられている。


【IV】Filthy Lucre Live(1996年)

ピストルズが“還ってきた”と世界が騒いだ再結成ライヴ盤。
しかしこの作品を単なる再会劇として聴くのは浅い。
これは亡霊たちの自嘲ライブである。

音はプロフェッショナル。演奏は驚くほどタイト。
だが、演奏の奥に漂うのは“過去を再現する滑稽さ”の意識。
ロットンの声が叫ぶたびに、観客の歓声が彼を消していく。
それでも彼は叫ぶ。「僕らは今も商品だ」と。

パンクが制度に飲み込まれた後の、
「制度の中でどう笑うか」という彼らなりの答え。
このアルバムは、最も成熟した“諦念のパンク”だ。

AU-PARAでは、この『Filthy Lucre Live』のアナログ2LPや初回CDブックレット付も査定対象。
再結成という名の「再解釈」をコレクター史の中で正しく評価する。


【V】The Original Pistols Live(1985年)

ブートまがいの公式盤。録音も粗い。
だがそこにこそ、“パンク以前”のピストルズが持っていた原初の震えが残っている。
ロットンの声は若く、粗く、まだ“笑い方を知らない怒り”がある。

音質で切り捨てるのは簡単だが、
AU-PARAではこの盤を「反音楽的記録」として評価する。
録音の悪さが“時代の汚れ”をそのまま残している。
それこそが1976年のロンドンだ。


【VI】Kiss This(1992年ベスト盤)

ベストアルバムでありながら、
「セックス・ピストルズという概念そのものの総括」になってしまった奇妙な編集盤。
曲順が象徴的だ。
“God Save The Queen”が中央に置かれ、
“Anarchy in the U.K.”が再び冒頭を破壊する。

これを聴いて初めてピストルズに触れる若者も多い。
だが重要なのは、ここに収められた音ではなく、
“この編集が可能になるほどピストルズが制度化された”という事実だ。

AU-PARAでは、このコンピを「パンクが神話に変わる瞬間」の記録として扱う。
UKオリジナル盤CD(VIRGIN 1992)+OBI付国内盤は、
初回封入ライナーのマルコム評が付くため、コレクター価値が高い。


【VII】最後に──“まだ壊れていない音”がある。

セックス・ピストルズのディスコグラフィーを辿ると、
それは音楽史ではなく、資本主義と人間の戦争史である。

彼らは音で暴れたのではない。
「音そのものを信じられなくなった時代」に、
音をもう一度信じさせた

AU-PARA(オーパラ)は、その「信じられない音」を買い取る店だ。
ピストルズのレコードは、ただの盤ではない。
革命の欠片であり、若さの亡霊であり、アートの記録

あなたの棚に眠る『Bollocks』が、
次の誰かに再び“ノイズの希望”を与えるかもしれない。


USED CD, VINYL & AUDIO & VINTAGE CLOTHING STORE AU-PARA(オーパラ)
セックス・ピストルズ、クラッシュ、ダムド、ジョイ・ディヴィジョンなどUKパンク全般を高価買取。
大阪を中心に関西全域へ出張買取。全国宅配買取も対応。
「音の革命」を理解する査定を。


“God save the Queen, we mean it, man.”
― その言葉はまだ腐っていない。
黒い盤を回せば、いまも街のどこかで破壊のビートが鳴っている。


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